戦争トラウマを語り合う 

戦争の終わらない痛苦と謝罪、赦し、和解を巡って
〈著者〉 黒井秋夫
〈ISBN〉
9784910457093
〈Cコード〉 C0036
〈判型〉 四六判並製
〈ページ数〉 320ページ
〈発売日〉 2026年2月13日
〈本体価格〉 1,800円

内容紹介

平和構築、癒し、交流のために重ねた対話の記録。

PTSDの日本兵家族会代表の著者と、そのメンバー、研究者、臨床心理士、ジャーナリスト、『福田村事件』作者らが多面的な語り合いで心の回復と、家族関係・国家関係の回復の可能性をあぶり出す対談集。

テーマは多岐にわたる。戦争の取り返しのつかない暴力性、元兵士のPTSD被害を隠した日本の戦後、そのケアを国家に押し付けられた家族。日本の戦争加害を語った元兵士と語りたくても語れなかった元兵士、沖縄戦、中国台湾、排他的な男社会が誘発する暴力……。

世界が日に日に悪くなるなかで、この対談集は、ひとたび戦争が起きたらどれだけ長く社会や家庭のなかに被害の影響が続くかを、語り合ったもの。そして、その被害と加害に向き合い、語り合うことが戦争を止めることにつながるという「語り合いと癒しの平和運動」を提唱する。

著者と対談者のPTSD日本兵家族会メンバーが被写体のドキュメンタリー映画、

『父と家族とわたしのこと』が2026年3月から全国順次公開される。

 

目次
はじめに 対話を続けること  黒井秋夫
対談1・藤岡美千代さん(PTSD日本兵の家族会)
戦争で壊された家族関係を見つめ直すー戦争PTSDだった父の「本当の姿を探す旅」と国へ求めること
対談2・市原和彦さん(PTSD日本兵の家族会)
私たちの戦争はまだ終わっていないー戦後の実態が見えてくる人ー
対談3・中村江里さん(上智大学准教授)
戦争の近現代史を問い直すー被害に偏る日本の戦争の記憶と向き合って
対談4・北村毅さん(大阪大学大学院教授)
戦争の取り返しのつかなさを取り戻すーアジアの戦争被害者に対して謝罪をする意味
対談5・吉川麻衣子さん(沖縄大学教授)
戦争体験を胸に秘めた人に寄り添い、語り出すまで待つ
閉ざした思いを言葉にできるまで――沖縄戦「語らいの場」の実践とは
対談6・中村平さん(広島大学大学院教授)
語り合いと癒しの平和運動ー謝罪と白旗と、中国台湾
対談7・村本邦子さん(立命館大学大学院教授)
トラウマで壊された関係性を修復する試みが平和をつくるー大きな声の裏に隠された小さな声や弱さを聞き取る
対談8・池田恵理子さん(元NHKディレクター)
元兵士たちの戦後から日本の戦争の本質を見るー戦場での性加害まで語った近藤一さん、語りたくても語れなかったPTSD兵士の歩み
対談9・谷口和憲さん(「戦争と性」発行人)
日常から暴力性をなくしていくー戦争と性暴力と向き合って考えたこと
対談10・辻野弥生さん(『福田村事件』著者)
心が傷ついた復員兵の父が「反戦6きょうだい」を育てたー戦後、戦争の恐ろしさを体現した父
あとがき 白崎朝子

プロフィール

黒井 秋夫

1948年山形県生まれ。山形大学人文学部入学後、学生運動を主導したとして退学処分に。その後は地域の生活協同組合や全国生協連の職員などを務め、2010年に退職。 18年に「PTSDの復員日本兵と暮らした家族が語り合う会」を設立、20年には、東京都武蔵村山市の自宅敷地に復員兵問題や戦争に関する資料を集めた「PTSD日本兵と家族の交流館」を開設した。2023年に会の名称を『PTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会』に改称する。著書に『戦争トラウマを生きる 語られなかった日本とアジアの戦争被害、傷ついたものが作る平和』(泉町書房 2025 蟻塚亮二との共著)。家族会のホームページhttps://www.ptsd-nihonhei.com/では例会や講演会の日程を掲載している。